先日の続きです。 さて、「人類は衰退しました」を読み終わったのですが、実にステキでした。 なので今回は少し真面目に書評を書いてみますね。 うわ〜、読書感想文なんて何年ぶりだろう(笑
こんなお話。
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。 すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。 平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。 わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の“調停官”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。 祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが…。 (「人類は衰退しました」より)
タイトルのとおり、人類を引退し旧人類となってしまった「人間」と、それに代わって新人類となった「妖精さん」の交流を描いたドキュメンタリー的な作品です。
はい、説明終わりです。…え、テキトー過ぎ? しかしね、ホントにそれだけの、起承転結もままならぬ内容なんです。
にも関わらず、私がこの作品を太鼓判を押してオススメするのにはワケがあります。 何故この作品にはこんなにも読者を惹きつける魅力があるのか。 その源を私なりに考えてみましたので、未読の方もこれを参考にして、この本を手に取っていただけたら幸いです。
まず第一に目を引くのは、文章の洗練された美しさ。 といっても、太宰治などの文豪のようなお堅いものではなく、割と誰でも親しみやすい、それでいて、一癖も二癖もあるんだけれど心に残る文章、といったところでしょうか。 や、うまく形容できんのですが…(汗
作者は田中ロミオさんという偉大な方。本業はエロゲPCゲームのシナリオライターで、作家としては今回が初めてのお仕事なのだそうです。 氏の手掛けたゲームの中でも今も評価の高い「CROSS†CHANNEL」を最近プレイしたのが、私がこの方を知ったそもそものきっかけでした。ストーリーもさることながら、この方の文章は他を抜いて圧巻です。まさにプロ。 なんでもファンの間ではロミオ節と称され、その美しさに魅せられた固定ファンも多いんだそうです。そして自分も虜にw
さて、そのロミオ節、PCゲームとは作風は違えど、至る所に見受けられます。 ロミオ氏の作品としてはとても平坦で童話的なストーリーなんですけど、おかげで遊び心のある文章がいいスパイスになるんですね。 思わずクスリと笑ってしまうこと間違いなしです。
例えて言えば、名前すらない本作の主人公の女の子ですが、この子がまたとても魅力的なキャラクターとして表現されています。 パニック時に「経験豊富で物怖じしない敏腕アダルト美女を目指すところのわたしは…」なんて主語を用いてみたり。 (これは明らかにC†Cの「酸いも甘いも噛み分けるヤングアダルト候補生」に係ってるんでしょうがw)
妖精さんとの会話も激プリチーです。
「みなさん、ご注目」 視線を集めて 「わたしは、これから妖精さんたちと仲良くしたいと思っています。なのでみなさんに名前を進呈させてください」 「ばかな」「そんなことが?」「かちぐみやんけ」「いっそたべて」 「じゃあ食べます」 『――――っ!?』
こういった冗談をさらりと織り交ぜながら、「わたし」の一人称でおもしろおかしく語られていくストーリーはなかなかに必見ですよ。
そしてもう一つが、設定のおもしろさ。 人類は限りなく滅亡に近づき、もはや地球はお茶目な妖精さんのものになっているという近未来的な発想ですが、一見あり得なそうに思えて、実はとても身近な内容なのかもしれません。 というのも、この本では文明の興亡というものが一つのテーマとして据えられており、それを「わたし」という人間の立場から見つめることにより、そのことがよく分かると思います。 何かもう、ラノベの域を超越して難しい経済の話にまで発展しそうですがw
…というわけで、普通のライトノベルとはひと味違った、まさに新境地を堪能できる作品だと思います。自分としても久しぶりに読んだ本でしたが、すっかりお気に入りになってしまいました♪ どうぞ、書店で目にしたら手に取って試しに読んでみてください。 すぐに病みつきになりますよ?
さて、ここからはネタバレ含みつつ個人的な感想を。
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